iDeCoの掛金がふるさと納税の控除上限をどれだけ下げるかを、年収500万円・700万円のケースで具体的な金額とともに解説します。
公開 2026年9月1日 ・ 更新 2026年9月2日
ふるさと納税とiDeCoはどちらも人気の節税策ですが、実は両方を併用すると、ふるさと納税の「自己負担2,000円で済む上限額」がiDeCoの分だけ下がります。iDeCoの掛金は全額所得控除になるため、その分だけ課税所得が減り、ふるさと納税の上限額の計算根拠である住民税所得割額も減るからです。
この記事では、年収500万円・700万円のケースでiDeCoの掛金額(月1万円・月2.3万円)別に上限額がいくら下がるかを、当サイトの計算エンジンと同じ計算式を使って具体的に示します。
ふるさと納税の上限額は、おおまかに次の式で決まります。
上限額 ≈ 住民税所得割額 × 20% ÷ (90% − 所得税の限界税率 × 1.021) + 2,000円
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得税・住民税の計算上、全額が所得から差し引かれます。控除が増えると課税所得が減り、住民税所得割額も減るため、上限額の計算式全体が小さくなります。さらに、掛金が大きくなって課税所得が税率の境目(5%・10%・20%など)をまたぐと、限界税率も下がり、上限額の減り方が一段大きくなることがあります。
以下は、年収と家族構成別に、iDeCoの掛金がない場合と、月1万円・月2.3万円拠出した場合の上限額を比較した表です。当サイトの計算エンジン(社会保険料は年収の15%、調整控除は2,500円とする概算)で算出しています。
| iDeCo拠出額 | 独身・共働き(配偶者控除なし) | 夫婦(配偶者控除あり) |
|---|---|---|
| なし | 61,000円 | 49,000円 |
| 月1万円(年12万円) | 58,000円(−3,000円) | 46,000円(−3,000円) |
| 月2.3万円(年27.6万円) | 50,000円(−11,000円) | 43,000円(−6,000円) |
独身・共働きのケースでは、月2.3万円の拠出で所得税の限界税率が10%から5%に下がるため、上限額が11,000円(約18%)も減ります。税率の境目をまたぐかどうかで減り方が変わる点に注意してください。
| iDeCo拠出額 | 独身・共働き(配偶者控除なし) | 夫婦(配偶者控除あり) |
|---|---|---|
| なし | 108,000円 | 86,000円 |
| 月1万円(年12万円) | 104,000円(−4,000円) | 83,000円(−3,000円) |
| 月2.3万円(年27.6万円) | 87,000円(−21,000円) | 79,000円(−7,000円) |
年収700万円・独身・共働きのケースも同様に、月2.3万円の拠出で限界税率が20%から10%に下がり、上限額が21,000円(約19%)減っています。一方、夫婦(配偶者控除あり)のケースは税率の境目をまたがないため、減り方はなだらかです。
このように、iDeCoの掛金がいくら上限額を下げるかは金額に比例するわけではなく、税率の境目をまたぐかどうかで大きく変わります。自分の条件で正確に知りたい場合は、ふるさと納税シミュレーションの「詳細設定」でiDeCoの掛金を入力し、実際の上限額を確認してください。
当サイトのシミュレーターは住宅ローン控除を計算に含めていません。 住宅ローン控除は所得税額そのものから直接差し引かれる制度で、iDeCoの所得控除とは仕組みが異なります。住宅ローン控除を受けている場合、所得税から控除しきれない分は住民税からも一部控除されるため、ふるさと納税の計算根拠である住民税所得割額がさらに変動し、この記事や当サイトの表示額よりも上限額が下がる可能性があります。住宅ローン控除を利用中の場合、正確な上限額は源泉徴収票や住民税決定通知書の金額をもとに、お住まいの自治体か税理士に確認してください。
iDeCoは掛金が全額所得控除になるため確実に節税効果がありますが、原則60歳まで引き出せません。ふるさと納税は上限額の範囲内であれば実質2,000円の自己負担で寄付先の特産品などを受け取れる制度で、両者は目的が異なります。iDeCoの掛金額を先に決めてから、その条件でのふるさと納税の上限額を確認する、という順序で考えるのが実務的です。iDeCoとNISAどちらを優先すべきか迷う場合はiDeCo × NISA併用シミュレーションもあわせてご覧ください。
制度の詳細は総務省 ふるさと納税ポータルサイト、iDeCoの掛金上限や手続きはiDeCo公式サイトでも確認できます。