住宅ローン控除を受けている人がふるさと納税を併用する場合、ワンストップ特例と確定申告で影響がどう違うかを国税庁・総務省の情報にもとづいて解説します。
公開 2026年9月1日 ・ 更新 2026年9月2日
住宅ローン控除を受けている方から多い質問が「ふるさと納税と併用すると控除額が減ってしまうのでは」というものです。結論としては、ワンストップ特例制度を使う場合は原則として住宅ローン控除に影響しません。一方、確定申告でふるさと納税を申告する場合は、人によって住宅ローン控除の一部が使いきれなくなる可能性があります。この記事では、それぞれの仕組みを制度の根拠にもとづいて整理します。
総務省の説明によると、ワンストップ特例制度を利用した場合、寄付をした年の所得税では控除が発生せず、控除額の全額が翌年度の個人住民税(基本分+特例分)から控除されます。つまりワンストップ特例を使うと、そもそも所得税の計算そのものに手を加えません。
住宅ローン控除は所得税額から直接差し引かれる税額控除で、控除しきれない分だけ翌年度の個人住民税から控除される仕組みです。ふるさと納税をワンストップ特例で申請する場合、所得税の計算に変化がないため、住宅ローン控除が所得税からどれだけ控除されるかにも影響しません。住民税側では、ふるさと納税の特例控除と住宅ローン控除の住民税分がどちらも同じ「個人住民税」の中で計算されることになりますが、ワンストップ特例による住民税への影響は、確定申告で寄附金控除(所得控除)として申告する場合に比べて限定的です。
確定申告でふるさと納税を申告する場合、寄付額(2,000円を超える部分)は「寄附金控除」という所得控除として扱われます。国税庁の説明では、この所得控除額に所得税率を掛けた金額が所得税から控除される仕組みです。
所得控除が増えると、所得税の課税所得(課税総所得金額等)がその分小さくなります。住宅ローン控除は所得税額そのものから差し引く税額控除のため、次のような影響が生じる可能性があります。
どの程度の影響が出るか(あるいは影響が出ないか)は、住宅ローン控除の残り年数や借入残高、他の所得控除の状況によって人ごとに異なります。正確な見込みは、源泉徴収票や住民税決定通知書の金額をもとに、税務署かお住まいの自治体の税務担当に確認してください。
住宅ローン控除への影響を避けたい場合は、ワンストップ特例制度の利用条件を満たすかどうかを確認するのが実務的な選択です。ワンストップ特例が使えるのは、次の2つをどちらも満たす場合です。
医療費控除など他の理由で確定申告が必要な場合は、ワンストップ特例は使えず、ふるさと納税もまとめて確定申告で申告することになります。この場合は前述のとおり、住宅ローン控除への影響が生じる可能性があるため、寄付額を決める際に留意しておくとよいでしょう。ワンストップ特例の申請期限は、寄付した翌年の1月10日までです。
当サイトのふるさと納税シミュレーションは、住宅ローン控除・医療費控除・副業収入を考慮していない、給与所得者向けの概算ツールです。ワンストップ特例を利用する前提で、かつ住宅ローン控除以外の要素が少ない方であれば、表示される上限額は比較的参考にしやすい数字になります。一方、確定申告が必要な方や、住宅ローン控除の住民税分がすでに上限近くにある方は、このツールの表示額どおりに寄付すると、実際の控除額が想定より少なくなる可能性があります。正確な上限額は、源泉徴収票の情報をもとに税務署やお住まいの自治体にご確認ください。
制度の詳細は総務省 ふるさと納税のしくみ、寄附金控除の申告方法は国税庁 タックスアンサー No.1155、住宅ローン控除で所得税から控除しきれなかった場合の住民税控除については総務省の案内でも確認できます。